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木の実を集めて君にあげる
第12章 一緒に歩き続ける
3月20日がやって来た、


お供えする為のお花やお線香を買ってから、
お寺に向かう。


宇田川家のお墓は綺麗に掃除されてて、
お花が備えられていたけど、
お線香は燃え尽きていた。


瑞樹ちゃんがお花やお菓子を手向けてから、
2人でお線香を上げて手を合わせた。


そして、瑞樹ちゃんがそっと墓石の後ろに回って、
刻まれた文字を読んで手で触れるのを見守っていた。


「あの時が、最期に会えるチャンスだったのに私…」と言って、
静かに瑞樹ちゃんが涙を流す。


「でも、やっと認識出来ました。
亮平さんは、お空の上で、
りんくんや月(るな)ちゃんと一緒に居るのね」と、
僕を見て笑いかけようとする。


「無理に笑わなくて良いよ。
いっぱい泣いて良いんだよ」と、
瑞樹ちゃんのの手を握り締めた。


駐車場に向かって2人で歩いていたら、
住職様らしき人とバッタリあって、
お茶でもと言われた。

お彼岸の時期で忙しそうだからと遠慮しながらもついて行って、
手土産を渡して、瑞樹ちゃんがお茶を淹れてくれて、
住職様は美味しそうに飲みながら話を聞いてくれた。


瑞樹ちゃんは頭の中を整理するように話をする。

宇田川亮平との間に赤ちゃんが出来たけど、
仕事が忙しいと言われて会えなくて、
その話も伝えられなかったことや、
その間に病気が進行していたのも知らなかったこと。
自分が父親になると言ってくれたこと。
宇田川亮平が最期だと言う時、
病院で階段から落ちてしまって、
流産して、看取ることも出来なかったこと。
その後もずっと抜け殻みたいになって歩けなかったこと。

そして、瑞樹ちゃんが昏睡していた時に、
僕が瑞樹ちゃんの両親に、
子供の父親は自分だって言って、
ずっと瑞樹ちゃんに寄り添ってたこと。
そんなことを乗り越えて結婚したこと。


住職様は優しい口調で、
「宇田川さんも安心されてると思いますよ。
りんくんもね。
どうか幸せな結婚生活を送ってください」と言いながら、
宇田川亮平のお母様から託されていたという小さい箱を瑞樹ちゃんに渡した。
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