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私が小さな男の子を好きになった理由
第2章 背の高い女の子は嫌いですか?
地下鉄の長いエスカレーターを昇っていると。
一組のカップルが隣のレーンの上の方から、降りてくるのが見えた。

女が上にいて、男が1段下にいた。
二人、見つめ合っている。

まぁ、良いけどさ。
私は別に、いじけていたわけではない。

ただ、女のジト目がちょっと、何だかなぁと思っただけ。

男は背が高いのか。
それとも。女が背が低いのか。

たぶん、両方だとは思うけど。
1段分の高さで、丁度合う目線。

この空間に、二人以外は存在しないような。
まるで異世界のダンジョンの中での勇者とヒロイン。

たった数秒なのに。
そこまで読み取る自分も嫌だった。

ええ、そうですとも。
少し、嫉妬してました。

私と真逆の女の子だもの。
小さくて可愛い。

一般的な日本人の男子が好む女子。
歩いていて、肩を抱きしめられるバランス。

私が到底、望めない身長なのだ。
そう、私は背が高い。

身長175㎝の大女です。
年齢25歳。

社内ではハンサムウーマンと仇名されている。
日本風だと、男前。

結局、可愛くは思われていない。
女子には人気あるけど。

男にはヒールを履くと、見上げざるを得ない女子は。
NGか、ネクストタイムなのだ。

数秒のエスカレーターの旅の中。
私の思考はグルグル廻り。

結局はアイツの顔を思い出していた。
私の大好きなサル顔。

眉毛の濃い。
小さな男の子。

十年前のアイツの顔を。




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