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not erotic love stories
第141章 懺悔:初めてのバレンタインチョコ
結局、一番傷ついたのは彼女なのだから。

石井さんはそれ以来、僕に話しかけることは無かった。
生真面目な彼女が唯一言った冗談が、今でも思い出される。

坂田が言ったんだ。

「今度、ユーミンのカセットを貸してよ」
奴にすれば、精一杯の勇気だったのだろう。

いつものクールな表情を崩さずに彼女は答えた。

「ひゃくえん・・・・」
最初は意味が分からず、坂田も僕も何も言えなかった。

「百円・・・くれたら・・・もってくる・・・」
恥ずかしそうに繰り返された言葉に、ようやく僕達は理解したのだ。

同時に彼女の愛らしい仕草に。
いつもはクラス委員として、ツンとすましているクールな少女が堪らなく可愛く思えたから。

それ以来、坂田は彼女のファンになった。
部活の間中、それが終わってからの帰り道でも石井さんのことばかりだった。

僕が彼女を好きになったのは、そのせいかもしれない。
だから、奴に問いただされ、喧嘩したことにも自分に責任があることは否定できなかった。

僕は懺悔の念を何十年もの間、彼女に向かって投げていいたのである。

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