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月あかりの夜
第2章 本屋で遭遇
 日も暮れて辺りは夜のとばりの中、遠くに街灯が青く見える。辺りは街灯もなく時折点いている門灯が薄ぼんやり光を照らす。

 それでも何処かからの明かりがさして足元は見える。

 月の出で射すわずかな明かり。その明かりが青白くあたって顔が陰影深く見える。

「月が出て、月あかり。昨日の夜と同じ」

「・・・・見えました」とまっすぐ前を見て言う。

「見えましたか。月のあかりは思ったよりは明るくて、そして暗い」

「・・・いろいろとするのですね。・・・ふつうですか」

「ふつうですよ。特に変わったことはありません」

「・・・・」

「・・・・」
 
 さして、遠くもない帰り路。
先に見える、その角を曲がると家の前の路地になる。

 路地の入口に止まって、手で先に入るように示したら素直に這入って行く。

「月のあかり綺麗な夜は見ながら寝ますよ、きっと」

 それで振り返った彼女は軽く会釈した。お辞儀したときに胸のリボンが揺れる制服を着た女子高生であった。
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