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月あかりの夜
第2章 本屋で遭遇
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「どうして逃げなかったのです」
「実は逃げる必要はないので」と云ってカバンから本を取り出して見せた。
本には図書館印が押されていた。
「どうして、紛らわしいことをしたの」
「見て騒いで店に通報すると思ってね」と云ってクスット笑う。
「え、居るの分かっていたのですか」
「店に通報しないなら。追っかけて来て、それから脅す」
「それで、待っていたのですか」
「何にも、しないからね。大人なのだ、やっぱり」
「脅すとは何」
「万引きしたのを見たぞー。学校に黙っていて欲しかったら言うことを訊けってやつ」
「はあ、そうなんだ」
「何もしない。だから、並んで歩いて帰るだけ」と、ふっと息を吐く。
「・・・・」
「・・・・」
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