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月あかりの夜
第1章 月を見上げる
あくる朝、昨晩の頑張りでけだるい。
ご機嫌の妻の朝食を済ませて玄関先に新聞を取りに出た。
そこから、二階屋のあの窓が正面に見える。すっかり窓は閉まっていてカーテンもされている。
新聞をわざと開いて読むふりをしていたら、向かいの玄関扉が開いた。
暗い影から制服の女子高生が浮き出てきた。
前髪を降ろし肩まである髪は束ねポニーテールにしている。カバンを持って段差を道に降りて背中を向けて門扉を閉めた。
すぐ目の前で振り返ったので眼と眼が合ってしまった。
「おはようございます」と元気に言ったが顔はぎごちなく強張っている。
「ああ、おはようございます」と習慣で挨拶した。
全く素振りは見せない。
まだ、眼と眼が合ったままだった。
そして、俯いた。
自然な動きで出た道を右に行くようで後ろ姿になった。
それを眼が追った。
女子高生としては標準な体形でかなり短いスカートで少し腿が見える。
『見たなー』と声を無言で掛けて部屋に入った。
こちらも支度をして出掛けないといけない。