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雨の降る夜は傍にいて…
第3章 9月の雨(September Rain)
 21 マスター⑦

 惚れちゃったのかも…

 共通の価値観、尊敬できる知識と人格…

 わたしが男として選ぶ基準点は満点以上であったのだ。

 そして、キラリと光る左手薬指のリング…

 決して不倫が好きなのではないのである。 

 そして不倫を肯定しているわけでもないのであるのだが…

 とても矛盾しているのではあるのだが…

 わたしは結婚していて、奥様と上手くやっている男が好みなのである。
 それはわたしの今までの男性経験上の、女に対して余裕がある男としての、必要不可欠の条件の一つであったのだ。
 
 とにかく自分自身というモノを…

 自分の我を…

 押し付けてくるような…

 そしてそんな自分中心なナルシストが…

 嫌いなのであったのだ。
 なぜかわたしは、わたしの過去に付き合ってきた男達が皆そうであったのである。

 いや、この言葉にするような内容は、友達からいわせると普通なのだ、と、よく云われる。

 付き合っていたらこの位は普通じゃないの…

 昔、よく相談していた友達に、よくそう云われていた。

 自分というモノを押し付けてくる…
 これは付き合ったならば、ある程度は妥協しなくてはいけない。
 それはわかっているのだ…

 自分の我を…
 それも付き合っているならば、ある程度は彼氏中心に考え、合わせ無くちゃならない。
 メールしたら必ず返事が欲しい…

 電話に必ず出てほしい…

 それもわかっているのだ…

『そのくらい合わせてくれても…』
 よくそう言われては喧嘩した。

 わたしが妥協しなさ過ぎなのだ…

 逆にわたしが我が儘なのだ…

 よく友達にそう云われて悩んでいた。
 そんな時、ふと、妻子持ちの男と遊んだのだ。

 これだ…

 とても気楽に付き合えたのである。

 決して、深く、わたしに入り込んではこない…

 自分を押し付けてはこない…

 ある意味、奥様と子供がいるから秘密主義である…

 夜遅くには電話はない…

 メールも昼間以外には殆ど来ない…

 そしてそのメールは必要最低限の内容が伝わればいいレベルでよいのである…









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