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雨の降る夜は傍にいて…
第3章 9月の雨(September Rain)
 38 あれから…⑤

「あっ、あんっ、ご、豪さんっ、あっ、あ、あ、っくうぅぅ……」
 わたしはバックから激しく突かれ、三度目の絶頂の叫びを上げ、そして全身を激しく震わせた。

「あっ、うっ、おあっ、ゆりっ…」
 豪さんもそう絶頂の喘ぎを漏らし、射精の絶頂の震えを起こしていた。

「あぁぁぁ………」

「ふ、うぅぅ……」
 
 そして豪さんは仰向けになり、わたしはそんな彼の胸に顔を埋めていく。
 三年越しの豪さんのあのわたし史上一番の大きなチンポは、久しぶりに素晴らしい快感をわたしに与えてくれたのだ。

「はぁ、ふうぅ、気持ちよかったぁ…」

「なんか、終わってそう云われるのも微妙だなぁ」
 豪さんは苦笑いを浮かべる。

「ええ、でも、久しぶりに気持ちよかったんだもの…」
 これは本音であった。

 豪さんがいなくなっての三年間に、記憶にあるのは八人に抱かれた…

 そして精神的にも肉体的にも満足させてくれたのは、二人だけであった。

 しかもその二人も一度切りの、雨の降る夜の関係で終わっていたのだ…

「豪さんのチンポには適わないのよ…」

「なんだかなぁ、それも微妙に、嬉しいやら……」
 再び苦笑いをしてくる。

 でも、さっきはつまらない言葉を云われなくて本当によかった…

 あそこでもし
『ゆりに会いたいから…』
 なんて白々しい言葉を云われてしまったら、せっかくこの再会に感動し、昂ぶっていたこの想いが一気に醒めるところであったのだ。

「そういえば、傷が一つ増えてるような…」
 と、豪さんはわたしの肩を抱きながら訊いてきたのだ。

「あ、うん…」
 転移性の肝臓がんの手術を…
 わたしはそう呟いたのだ。

 三年間の空白は長いのよ…

「転移性……」
 黙って頷く。

「すごいでしょう、お腹のかぎ裂きの手術痕…」

「疼くのか……」

「うん…」
 わたしは頷いた。
 すると豪さんはスッと唇を寄せてくる。

 ああ…

 その優しいキスに心が蕩けてしまうのである。

 疼くの…

 でも…

 また、これからは…

 大丈夫…

 アナタが戻ってくれたから…

 またこれからは…

 こんな…

 雨の降る夜は傍にいて…

 くれるから…





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