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雨の降る夜は傍にいて…
第5章 秋冷え…
2 出会い
確かに、贅沢な悩みなのかもしれない…
彼、大塚浩司とは約12年前に出会ったのだ…
別れたのは9年前なのだが、付き合い始めたのは遡ることその3年前、つまり約12年前なのである。
当時わたしは25歳、母校の某私立高校の臨時採用教員となり、そしてバスケットボール部の顧問コーチとして2年目を迎えた夏であった。
その頃のわたしはメンバーには何の問題もなく、ただ、ただ、自分自身の指導力不足によりなかなか結果を残せずにいて、指導者としての最初の大きな壁に当たって悩んでいた時期であったのだ。
そしてインターハイ予選の決勝リーグで2敗してしまい、優勝を逃した夏の夜である。
無念の想いに苛まされ一人夜の繁華街を彷徨っていた時に、ある看板が目に入ってきたのだ。
『B.B CAFE』
その看板に、バスケットのボールと野球のボールのイラストが書いてあったのである。
何、今まで全然気付かなかった…
その夜は本当に悔しくてヤケ酒を浴びたい気分であったのだ。
この敗戦に誰一人としてわたしを責めてこなかった。
だが試合終盤に朗かなわたしの采配ミスの場面が何回かあり、悔やんでも悔やみ切れない想いの夜であったのだ。
逆に責めてもらった方が気が楽になったのに…
そんな無念な想いのわたしはこの看板に魅かれ、入り口のドアを開ける。
すると店内には大きなテレビモニターが二つあり、アメリカメジャーリーグの衛星放送の野球中継と、NBAアメリカプロバスケットボールの衛星放送中継が写っていた。
いわゆるスポーツバーであった…
「いらっしゃい、一人かな、カウンターへどうぞ…」
そう声を掛けられ、カウンターに導かれたのである。
その声を掛けてきた男こそ、このスポーツバーのオーナーである大塚浩司であった。
これが、最初の出会いである…
「お姉さんは初めてだよね…」
わたしはその問い掛けに頷く。
「こっちがメジャーリーグ側で、あっちがNBA側…」
そう指を挿してくる。
もちろんわたしはNBA側に座る…
この夜はビックゲームもなくお客が少なかった。
「ドライマティーニを…」
わたしはカウンターに座るなりオーダーをする。
ただ無性に強いお酒が飲みたかった…
そして、無念の想いを抑え切れなくなっていたのだ…
確かに、贅沢な悩みなのかもしれない…
彼、大塚浩司とは約12年前に出会ったのだ…
別れたのは9年前なのだが、付き合い始めたのは遡ることその3年前、つまり約12年前なのである。
当時わたしは25歳、母校の某私立高校の臨時採用教員となり、そしてバスケットボール部の顧問コーチとして2年目を迎えた夏であった。
その頃のわたしはメンバーには何の問題もなく、ただ、ただ、自分自身の指導力不足によりなかなか結果を残せずにいて、指導者としての最初の大きな壁に当たって悩んでいた時期であったのだ。
そしてインターハイ予選の決勝リーグで2敗してしまい、優勝を逃した夏の夜である。
無念の想いに苛まされ一人夜の繁華街を彷徨っていた時に、ある看板が目に入ってきたのだ。
『B.B CAFE』
その看板に、バスケットのボールと野球のボールのイラストが書いてあったのである。
何、今まで全然気付かなかった…
その夜は本当に悔しくてヤケ酒を浴びたい気分であったのだ。
この敗戦に誰一人としてわたしを責めてこなかった。
だが試合終盤に朗かなわたしの采配ミスの場面が何回かあり、悔やんでも悔やみ切れない想いの夜であったのだ。
逆に責めてもらった方が気が楽になったのに…
そんな無念な想いのわたしはこの看板に魅かれ、入り口のドアを開ける。
すると店内には大きなテレビモニターが二つあり、アメリカメジャーリーグの衛星放送の野球中継と、NBAアメリカプロバスケットボールの衛星放送中継が写っていた。
いわゆるスポーツバーであった…
「いらっしゃい、一人かな、カウンターへどうぞ…」
そう声を掛けられ、カウンターに導かれたのである。
その声を掛けてきた男こそ、このスポーツバーのオーナーである大塚浩司であった。
これが、最初の出会いである…
「お姉さんは初めてだよね…」
わたしはその問い掛けに頷く。
「こっちがメジャーリーグ側で、あっちがNBA側…」
そう指を挿してくる。
もちろんわたしはNBA側に座る…
この夜はビックゲームもなくお客が少なかった。
「ドライマティーニを…」
わたしはカウンターに座るなりオーダーをする。
ただ無性に強いお酒が飲みたかった…
そして、無念の想いを抑え切れなくなっていたのだ…