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雨の降る夜は傍にいて…
第5章 秋冷え…
 8 久しぶりの男

「あ、ああ…」
 わたし達はアパートのベッドの上で抱き合っていた、車内で激しいキスをした後にわたしの誘いのままに部屋へ上がったのだ。

「あ、ああ、マ、マスター…」

「浩司、こうじでいいよ、ゆり先生…」
 彼はそう囁きながらわたしのカラダをまさぐってくる。

「あん、んん…」
 首筋に唇を這わしながら白いブラウスのボタンを外してくる、そしてもう片方の手はスカートの中にゆっくりと入ってきながらストッキングを穿いている脚を撫でてきていた。

 男に抱かれるのは約1年半振り、あの禁断の関係を結んでしまったわたし自身の高校時代に亡くなった元彼に瓜二つの弟クン以来である。
 その彼が野球を引退した時点でわたし達はスッパリと関係を終わらせた。
 勿論それまで毎週水曜日の夜という定期的な関係を結んでいたから、いきなり終わらせるのは色々な意味で少しだけ辛かった。
 だが彼自身も高校三年生の割には意思が強くキッパリと諦めてくれ、それ以降は普通通りの体育教師と生徒の関係を維持してくれ、逆に内心ではわたしの方が未練を残し戸惑ってしまっていたくらいであったのである。

 だから男に抱かれるのはそれ以来であったのだ…

「あん、あ、こ、浩司さん…」
 彼の唇の感触に、手の愛撫にわたしは喘ぎを漏らしてしまう。
 彼の愛撫は優しく、穏やかであった。
 わたしはこんな大人の緩やかな、穏やかな、余裕のある愛撫が堪らなく好きなのである。

 若さに任せた勢いの愛撫は嫌いであった、だから余計に自然と年上の男性を求めてしまうのかもしれない…

「ふうぅ、堪らないや…
 実は、ソファーでゆり先生が酔っ払って横になっていた時に、ずっと我慢していたんだよ…」

「えっ…」

「あんな偉そうな事を云ってたくせにさ…」
 と、自虐的な笑みを浮かべる。

「最初に来店した時に見掛けた時から、一目惚れだったんだよ…
 ドキッとしてしまっていたんだ」
 そんな嬉しい言葉を囁いてくる。

「実はわたしも、意識を戻して浩司さんの笑顔を見た時に…」
 一目惚れしてしまったの…
 そう、正直に告白したのだ。

「あっ…」
 再び彼はキスをしてきた。
 そしてその時点でわたしのブラウスも、スカートもいつの間にかに脱がされてしまっていたのである。

 どうやら彼、浩司さんは、百戦錬磨の遊び人らしい…

 

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