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雨の降る夜は傍にいて…
第5章 秋冷え…
 33 不惑の一年間

 だがそれからのわたしは浩司への愛に対して、いや、愛を感じれば感じる程に、抱かれれば抱かれる程に、心が騒めき、戸惑い、迷走し続けていったのである。

 そんな不惑な想いに心が捩れる程に焦れ…
 苦しみ…
 藻掻く…
 のだが、それが逆にスパイス的な刺激となって更にますます浩司に対して愛を燃え上がらせていったのだ。

 そしてその秋から約一年間、高校バスケット指導者として迷走し、浩司への愛にも迷走する一年間を送ったのである…


 まずその冬のウインターカップという高校バスケット冬の全国大会の県予選の決勝戦で、僅か1点差で敗れてしまう。

 僅差の敗北は完全なる指導者のせいなのだ…
 わたしはその敗北感と絶望感と焦燥感、そして勝利への渇望を浩司に愛情として、セックスというカタチに代えてぶつけていき、甘えていく。
 そしてますます浩司のセックス中毒に陥っていく。

 春…
 新人戦、関東大会予選共々に、どうしてもライバル高校であるもう一つの強豪私立高校に決勝戦であと一歩という処で負けてしまう。
 だが県二枠があるから新人戦、関東大会予選共々に関東大会へは出場できるのだか、やはり関東大会ではどちらも一回戦で敗れてしまい、ますます自分の指導力の無さを実感し、焦れ、焦燥感に陥ってしまう。
 そして、それも全て浩司へのセックスというカタチに代えて堕ちていった。

 夏…
 やはりインターハイ予選決勝戦でライバル私立高校に僅か及ばずに、またもや二年連続で敗れてしまったのだ。
 その時もやはり浩司へのセックスというカタチに代えて甘え、セックス中毒末期患者の如くに堕ちていったのだ。

 もはや、完全に、浩司無しでは心を維持出来ない状態となっていたのである。

 そして浩司と付き合い、愛を確認し、『不倫』という恋愛に開き直って満一年間が過ぎた秋を迎えた…

 この一年間を振り返ってみても、正に不惑な、迷走していると称せる一年間といえるのであった。

 だが、秋を迎え、秋冷えという冬への季節の移り変わりの時期を迎えた辺りから、少しずつではあるがバスケット指導者としての変化を迎え始めてきたのである。
 そしてその変化に伴い、浩司に対しても、その『不倫』の環境に対しても、少しではあるが僅かな変化が起き始ってきたのであった。

 わたし達は二年目の秋を迎えた…




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