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雨の降る夜は傍にいて…
第1章 台風の夜
 22 合格通知

「あっ…」

 彼女はこの私のフレンチな、スッと引いた唇の一瞬の虚無感に思わず吐息を漏らし、自らの唇を軽く開いてしまったのであろう。
 私はその瞬間を逃さなかったのだ。
 その一瞬のスキを逃すまいと私の舌先をスッと、本当に自然に、スムーズに彼女の中に入れる事に成功したのである。

 ああ、甘い…

 その彼女の舌先の感触に、甘い味に、私の心が震え、蕩けてしまう。

 すると彼女は、カラダの力がやや抜けたように私に身を預けてきたのだ。

 それは

 後はもう、貴方にお任せする…

 私にはそんな彼女の意味、意思の現れに感じられたのだ。
 そしておそらく彼女もそんな意味、想いを私に込めてくれ、そして唇を吸われながら脱力したかのように私にカラダを預けてくる。

 もう貴方の好きなように抱いて欲しい…

 それは完全に、彼女からのそんな合格通知とも感じられたのだ。

 そして私と彼女はキスをしながらベッドへと倒れ込んでいった。

 ベッド脇にある、この50階の高層の窓には激しい嵐の大雨が、音もなく、静かに、激しく打ち付け、窓を洗い流していた…

 私はついに彼女を自由にできる合格通知を貰ったのである。

「あぁ…」
 唇を離すと彼女が甘い香りの吐息を漏らす。
 そして私はゆっくりと彼女のバスローブを緩ませていくのだ。

 ああ、堪らないな…

 私の欲情はここで一気に昂ぶっていく。
 そして上から彼女の姿を改めて見つめていく。

 美しい…

 私の経験のいい女ベスト3には間違いなく入る。
 そして彼女の小さな点状のホクロが目に入り、なぜか心を震わせてくるのだ。


 彼女の薄い唇、そしてその唇のやや左斜め下に小さな点状のホクロがあった。

 そしてこのホクロがなぜか私には、彼女の妖艶な美しさを演出しているようにも感じられるのである…



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