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雨の降る夜は傍にいて…
第6章 小夜時雨(さよしぐれ)…
 5 間抜けで馬鹿なわたし…

「ねえ、美香ちゃんって本当に凄いわよねぇ…
 それにさぁ、他の4人のメンバーもさぁ……」
 わたしはこの夏の終わりから、不倫関係である彼、大塚浩司の一人娘である大塚美香ちゃんの活躍と、存在感と、それに伴うわたし自身へもたらされるプラスの相乗効果によって全く抵抗感がなくなり、何でも、何の抵抗もなく、彼に話せるようになっていたのである。

 しかしその反面、正式入学が決定すると、奥様に対しての背徳感と罪悪感のヒリヒリとした刺激は更に昂ぶってきていた…

 そして今夜も彼に抱かれ、愛されて、そのセックスの絶頂感の快感の余韻に彼の腕の中で浸りながら、そんな美香ちゃん関係の話しをしていたのであったのだ。

「うん…、そうか…」
 そんなわたしの語り掛けに対して彼は当たり障りない様な返事をしてきていたのだが、間抜けなわたしはそんな彼の返事に少し物足りなさを感じていたのであった。

 もお、せっかく娘の話ししているのに…
 と、間抜けで馬鹿なわたしは少し不満も感じていたのである。

 だけど、よく考えれば分かるようなモノなのであるが、その当時のわたしは、我がバスケット指導の明るい未来の手応えにすっかり浮き足立っていて、想像すら出来ないでいたのであったのだ。

 そう、わたしと浩司の不倫関係の清算を、つまりは、わたし達二人の別れという事を…

 だが、既に彼は、娘美香ちゃんのわたしの高校入学決定の時点でわたしとの別れを想定しており、後は、いつで別れ、清算をするかをも考えていたそうである。

 ただ、後に訊いた話しによれば、嬉しい事に本当にわたしとは別れたくはなかったから、なかなか切り出せない、言い出せないでいたそうであった。

 だが、着実に、別れの刻は迫ってきていたのであったのだ…

 しかし、こんなわたしの様子を見る度に、抱く度に、愛する度に、心が辛く、苦しくなり、なかなか切り出せなかったそうである。

 一人、間抜けに浮かれていたの、はわたしだけであったのだ…

 そしてそんな彼の思いの反比例、いや、反動なのであろうか、彼のセックスが、わたしを抱く、愛してくれるペースと頻度、そしてもたらされる快感の度合いが、日毎に、日々激しく昂ぶってきていて、わたしはそんな快感に溺れていたのであった。

 わたしは本当に馬鹿で間抜けであったのである…




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