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雨の降る夜は傍にいて…
第6章 小夜時雨(さよしぐれ)…
 6 最低な女…

「ああっ、はあっ、っくうぅぅぅぅ…」

 わたしは激しい痙攣の如くにカラダを震わせ、全身を強張らせ、僅か一晩、二時間足らずの逢瀬でありながら、四回目の絶頂感を迎えていた。

「……はぁ、はぁ、はぁ、ふうぅ…」

「ふうぅ、ゆり、最近、また、更に一段と感度が上がったんじゃないのか…」
 浩司はベッドからカラダを起こし、タバコに火を点け一息吐いて、そう呟いてきたのだ。

「え…、うん、そう…なの…」
 そうなのである、浩司に言われた通りセックスの快感の感度が以前より、倍近くに上がった気がしていた。

 そしてそれは美香ちゃんの入学の正式決定からと、最近美香ちゃんが練習に参加するようになり送迎の為に、頻繁に奥様と顔を合わせる様になったせいでもあった。

 つまりは背徳感と罪悪感のヒリヒリとした刺激が更に強くなったせいでもある、といえるのだと思われる…


 しかし…

 そして…

 いよいよ、わたしにとっては、衝撃的であり、運命の別れを告げられる刻が来たのである…


 11月第2日曜日、わたしの高校は、2年連続ウインターカップ県予選に優勝をし、全国大会のキップを手にした。
 しかも、今回も約20点差を付けての完全優勝であったのだ。

 特別な新入学メンバー達も決まり、その刺激の相乗効果により在校生部員のレベルアップが図られ、今回のウインターカップ全国大会に向けてかなり期待できるチーム力が備わったという事実は誰の目からも朗らであった。

 そしてわたし自身も、己の指導力に自信と期待が持てる試合といえたのである…

 だからその夜の優勝祝賀会も、かなりの盛り上がりを見せたのであった。

 だが、そんな最高の夜に、わたしは浩司から、最低な事実を告げられたのだ…

 それは、その当時のわたしには、正に、天国から地獄への落下といえた…

 しかし、それを今、振り返って顧みても、改めてこの日がベストなタイミングであったといえたし、彼、浩司の精一杯の優しさと、配慮と、そして苦悩がよく分かるのだ。

 だが、何度でも言わせてもらう…

 その当時は、わたしは、本当に間抜けで、馬鹿であったのだ…

 自分一人の事しか考えられない、最低な女であったのである…

 



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