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雨の降る夜は傍にいて…
第6章 小夜時雨(さよしぐれ)…
 20 禁断の言葉

「ひ、ひん…
 わ、別れる…なんて…む、無理よ…」
 わたしは涙と鼻水でぐしょぐしょになり、そして嗚咽しながらも、そう言った。

「…だけど…もう、限界だろう…」
 お前だって分かってるんだろう…
 浩司はそんな顔をしながら、そう言ってきた。

 そんなことは分かっている…
 わたしは、泣きながら頷くしかなかったのだ。

「これこらもっともっと、ゆり、お前の知名度は上がっていく…
 そしてその知名度の上昇イコールゆりの指導者としての高評価であり、ゆりの高校の好成績である筈だ…」

「……………」

「その対価として失うモノは…」
 そう浩司は言いながら、ジッとわたしを見つめてくる。

「……失うモノは俺だけじゃないか…」

「ひ、ひん…
 そ、それが………イヤ…なの……」

 それが1番嫌なのだ…


 浩司、貴方を失うくらいなら…
 と、わたしはそう言おうと顔を上げる。
 ……と、彼は

「俺は…
 俺は…
 離婚は全然構わないが…」

 ああ、それは…

 それは…

 言わないで…

 心で叫ぶ。


「俺は…
 ずっと、美香の父親でいたい…」

 ああ…

「ああ…」
 
 心の悲鳴が、声に漏れ出てしまった…


 見つめてきていた浩司が目を逸らす。
 
 後ろめたいのだ…

 なぜならば…

 その言葉は…

 わたし達二人にとっての禁断の言葉であるから…

 更に涙が溢れ出してきた。

 心が悲鳴を上げ、涙を溢れさせるというカタチで叫び出してきたのだ…


『ずっと……美香の父親でいたい…』
 
 浩司のその言葉が、心の中でぐるぐると巡っていたのである。


 そんなこと…

 云われなくたって…

 いや違う、わたしが彼に…

 云わせてしまったのだ…




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