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雨の降る夜は傍にいて…
第6章 小夜時雨(さよしぐれ)…
 32 別れの夜 ⑨

「よくは…ないけど…さ…」

「わたしは…
 わたしは…
 今夜最後だから、思い切って、ぐちゃぐちゃになるまで…
 なにもかも吹き飛ばせる位に抱いて、いや、最後に愛して欲しかった…の…」

 わたしは…

 わたしは、そう、小さく叫んだ。

「最後…なんだから…」

「うん…」 
 すると浩司は頷く。
 だが、既に想いは決まっているかの様に、その目は冷静のままであった。

「最後なのよっ」
 わたしはそう言いながら、彼に抱き付いていく。

「今夜で…最後なのよ…」
 そして唇を寄せ、キスをする。

 ああ、こうじぃ…

 だがそんな冷静な目と、言葉とは裏腹に熱いキスを彼はしてきたのだ。
 わたしをきつく抱き締め、舌先を絡め
、唾液を交わし、吸い合う。
 まるで、そんな不惑な想いを吸い取るかの様な熱いキスをしてきたのである。

 ああ…

 なぜ、なぜ…

 あんな冷ややかなのに、こんな熱いキスを…

 キスをしてくるの…

 わたしは戸惑い、不惑な想いに揺れ動いてしまう。

 あっ…

 そうか、そうなんだ…

 冷静な…

 冷静なフリをしているだけなんだ…

 きっとそうなんだ…

「ゆ、ゆりっ」
 彼はキスをしながらわたしの名前を囁いてきた。

 それは…

 それは、醒めてはいない証拠…

 醒めているフリの…証拠…

「こうじぃ…」
 わたしも囁き返す。
 そして抱き合い、唇を交わし合っていると、わたしの太腿に浩司の、熱く、硬く、脈打つ怒張の塊の感触を感じたのである。

 冷静な…

 フリなのだ…

「ご、ごめん…なさい…」
 そう囁いた。

 生理になってごめんなさい…

 心から、そう囁いたのだ。

 でもね…

 でもね…

 最後に…ね…

 閃いた想いを伝えようと想う。

「わたしは最後に抱かれたいの…」
 彼は頷く。

「だから…さあ…」
 黙って頷く。

「あの…ね、だから別れるのは…さ…」

「…………」
 わたしをジッと見つめてきた。

「だから…生理が…終わる…来…あ…」
 浩司がキスをしてきたのだ。

 そしてそのキスは…

 わたしの口を、言葉を塞ぐ為のキス…

 それは…

 生理が終わる、来週まで…

 来週まで、別れるのを…

 一時、止めよう…

 そんな子供じみた想いであったのである。




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