この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
甘い蜜は今日もどこかで
第5章 【もし間に合うのなら】
「おやすみなさい」と頭を下げる。
「はーい、おやすみ」って膨れっ面だけど優しい眼差しで手を振って。
車が見えなくなるまで見送ってくれた。
「あんた本当大したもんね〜DAiKIくんを手玉に取るのは難しいのよ〜遊んでそうで意外と一途だし仕事とはいえここまでのめり込んでるDAiKIくん初めて見たわ」
2人の前ではやっと息が出来るって感じですっかり素に戻る私は「へぇ、そうなんですね」って素っ気ない返事。
「早速、仮面外すわね」と笑われるけど今日は休憩なしでぶっ通し働いた気分だからドッと疲れが押し寄せてきている。
ホテルへは車で10分ほど。
チェックインして鍵を貰ったら各々部屋へ。
流石、吉原さんは最上階のスイートルームだけど私とジロウは階も別々。
ちょっとだけ断りきれなくて飲んだカクテルが今になって回って来たか。
クラっとした私を見逃さないジロウは私の階まで付き添ってくれるそうで、一緒にエレベーターに乗っていた吉原さんにバイバイして2人で降りた。
「いや、大丈夫だし、疲れてるだけだよ」
「部屋まで送らないと心配なんで」
「ふーん、相変わらず優しいんだね〜」
「椿さん、フラフラなんで」
カードキーで解錠し寄りかかったまま入っていく。
荷物もちゃんと置いてくれて服も掛けてくれる。
テキパキと動いて浴室も温めてくれた。
「椿さん大丈夫ですか?動けます?」
ベットに座ったままボーッとしていた私はジロウの声に反応はしたらしい。
手を伸ばして「立たせて」って立たせてもらったらまだフラついたみたいだけど「大丈夫、大丈夫」とジロウを寄せ付けない。
どんなに疲れていてもシャワーは浴びる、ルーティーンだけはちゃんと守る。
眠気も押し寄せられながら何とか目を開けて踏ん張る私にやっぱり手を貸してきてイラッとして「帰って良いよ」って突き放したの。
中途半端な優しさ要らないから。
私もシャワー浴びたら明日の撮影に向けて整えたいし。
多分、私も憑依型。
DAiKIさんと付き合ってる気で居る。
3日間だけは。
「無理しないでください」
「は?何それ、もう良いから部屋戻って、ジロウもお疲れ様でした」