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甘い蜜は今日もどこかで
第5章 【もし間に合うのなら】
そこは素直だね。
バタン…と閉めてすぐに振り返るジロウに荷物もそのまま置いて壁に押し倒すほどの熱いキスをどちらからともなく仕掛けていく。
あぁ………欲しかった。
ジロウにこうして、1分1秒でも早く消毒して欲しかったの。
「他の男の匂い着いてんでしょ?全部消して…?」
「全部消します……僕が……全部」
何度も重ね合わせる唇。
腫れるほど吸われていたい。
絡めてくる舌が“まだです…”って伝えてくる。
昨日のキスじゃ物足りない。
越えるくらいジロウの色に染めて。
ポケットから出した携帯。
目の前で電源を落としてみせてきた。
吉原さんコールには邪魔されたくないってジロウの意思表示に私からキスを再開させる。
良いの……?今夜こそ……奪っちゃうよ?
待って、シャワー浴びなきゃ。
流石に色々触れるだけだったけど身体にもキスされてたわけで。
綺麗にしてからジロウに抱かれたい。
壁にもたれてキスしているとジロウの手が私のお尻に触れてくる。
絡めてる舌を引っ込めた。
「あ………シャワー浴びる?ていうかこのままは流石に」
「あ………ですよね、がっついてすみません」
「ん、良いの、ジロウがそうなるの珍しいから素直に嬉しい」
「ただの嫉妬です、ごめんなさい、我慢出来なくて」
「撮影中どんな気持ちだった?ココ、煮え滾ってたの?」と胸を押す。
その手を握られてチュッと掌にキスされて。
「狂いそうだった……怒られても良いから何が何でもあそこで止めるって……」
「ふふふ、こっぴどく怒られてたね?」
「はい……でも後悔はしてません、もっと早く止めても良かったと思うんですけど」
「アハハ、ナイスなタイミングだったよ、私も止めて〜って思ってたから」
バチッとまた目が合って逃してくれなくて自然と唇は重なってる。
こうなることがまるで用意されていたみたいに隙間なく埋め尽くされていく。
そしたら、今度はやっぱり私の携帯が鳴り始めて。
見ると吉原さんからで顔を見合わせた。
ジロウが焦ってる。
大丈夫だから…と唇に人差し指でシーッと静かにさせてから。
「もしもし、お疲れ様です、藤堂ですけどどうされました?」