この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
甘い蜜は今日もどこかで
第5章 【もし間に合うのなら】
あちゃ〜やっぱりジロウに掛けてたみたいで繋がらないから私の方にも掛けてきたみたい。
通話の声はジロウにも丸聞こえ状態だ。
「あ〜繋がらないってシャワーでも浴びてるとか?電源落ちてるの気付かないまま寝落ちしてるか……ですかね」
言葉の節々に疑われてそうな感じはしてる。
会話しながらジロウにチュッてキスしたら慌てふためいているから笑いを堪えるのに必死だ。
「もう私も寝ますよ〜明日で終わりだから打ち上げ楽しみにしてまーす」
__良い仕事頼むわね、それと、顔出ししないかって頼まれたけど断っておいたから、レンカノレン妻してる身だからね
あぁ、スタッフさんと話していたのはこの事だったのか。
良かった、ダメ出しじゃなくて。
「ありがとうございます、顔出しされたらどうぞ訴えてあげてください」
__がっぽり貰うわよ〜!って費用で全部飛ぶわ!そうならない為に細かい契約結んでるんだから、あそこの会社はまだ信頼出来る方よ、安心して撮影に挑みなさい、遅い時間に悪かったわ、おやすみ、ゆっくり休んでね
「はい、また明日、おやすみなさい」
電話を切った後、やっぱり帰った方が良さそうだね、という結論に至った。
お互いチキンだし、吉原さんの顔が浮かんで離れないし。
「あ、でもジロウ……」
そう呼んだ時の振り返って“何?”ってアイコンタクトしてくる優しい顔が好き。
「私、DAiKIさんには悪いんだけど、撮影中ずっとDAiKIさんのことはジロウだと思って接してる……それだけわかってて」
一瞬驚いてクシャッと照れた笑顔。
この顔も好き。
好き過ぎてヤバいの。
「はい、でも全部終わったら彼に向けてた笑顔も唇も全部、僕が返してもらうんで……そのおつもりで」
「ふふふ、わかった、そのつもりで居るね」
「おやすみなさい」
「あ、ジロウ、それと………」
「はい」
「全部終わったら…………続き、してくれる?」
真っ赤にならないでよ、伝染る。
でもちゃんとした保証が欲しい。
もう有耶無耶にはしたくない。
ジロウは私のものだって確証を頂戴。