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第7章 【愛したい守りたい】

「椿…！あ〜藤堂さん、おはよう」




マンションを出てすぐに声をかけられ立ち止まる。
向けた視線の先に車から降りてきた人影。




「え…？副社長！？あの、おはよう…ございます、えっと、どうして…？」




動揺してしまいシドロモドロになる。
会社前で待ち合わせのはずが、まさか自宅前まで来てるなんて。
後ろにジロウが居るのに最初は気付かず下の名前で呼んでたし。
ジロウも絶対気付いてるはず。
めっちゃ気不味い。




「ごめん、迎えに来ちゃった……そっか、送迎があるって前に言ってたよな」




ここは副社長を立てるしかないし、ジロウもわかってくれるはず。




「ご一緒しても宜しいですか？」




「え、良いの？」




そんな、あからさまに嬉しそうな顔。
「では、今日はそのように報告しておきます、安全運転で宜しくお願いします」とジロウもマネージャーの顔で頭を下げてくれた。
秘書の立場なので運転しようとしたら「こっちで」と助手席を開けて頂き恐縮する。




「毎朝ああやって部屋まで迎えに来てもらってるの？」




「え………あぁ、はい」




ていうか、その聞き方って、怪しいって思って聞いてるよね。
いつから居たの？
ジロウが来てるとこ見てなくてカマかけてきてるのかな？




「そう」




話題を変えようと運転中の副社長をチラチラ見る。
どうした？って聞かれたから
「3日ぶりの健康チェックです」と顔色や爪の色なんかを見る。
そのまま手を繋いできたので
「安全運転でお願いしますね」とその手をハンドルに戻した。




会社下のカフェだと思っていたら高級ホテルのレストランだった。
朝からなんと贅沢な。




「気に入らないか？店、変えるか？」




「いえ、びっくりしただけです、カフェだと思ってたので」




「大事な秘書なんだ、おもてなしくらいさせてくれ」




「有り難く頂戴致します………ふふふ」




3日ぶりに見る副社長は変わったところなんてないけど、朝一の笑顔は温かかった。
会社に戻る時もいつもよりレディファースト……的な？
気のせいかな？とは言い切れず。