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甘い蜜は今日もどこかで
第7章 【愛したい守りたい】
「ごめんなさい、契約以上の関係は結べません……私は、やっぱり、どう考えても……どう考え直しても、UNEEDのいち社員だしこれ以上規定を犯すわけにはいきません」
「俺のこと、もう好きじゃない?好きじゃなくなった?」
手を握り、目を潤ませている。
直視出来ないほど今にもまた泣き出しそう。
あなたを、クライアントを傷付けて良いはずはない。
でも吉原さんなら、ちゃんとケジメつけなさいって言ってくれるはず。
その上で処分を課すのだ。
「ごめんなさい、ずっとずっと、私の中には忘れられない大切な人が居ました……なのに甘えてしまってすみません、秘書としてあるまじき行為でした」
シーン……とした空気。
言うだけ言って静寂を取り戻した。
聞いてる……よね?
時折目を瞑ってるから寝てるのかと思ってしまう。
ズルいよね、酔ってる時に話す事じゃなかったかも。
もう一度、シラフの時に改めて話そうか。
「わかった……」
「え?」
「わかったんだけどさ……ちょっと今、気持ち悪い」
「え?吐きそうですか?」
慌ててバックからエチケット袋を出すも後ろから突然抱き締められた。
「忘れれる訳ないだろう?お前わかってる?俺の人生変えたんだからな」
「そんな……大袈裟です」
「それくらい俺にとっては衝撃的だったんだよ……椿は」
「………はい」
ごめんなさい、は呑み込んだ。
きっと副社長ならもう謝るなって言うと思うから。
ギュッと籠もる力に酔ってる訳じゃないんだなってわかる。
酔ってるフリしなきゃやってられないよね、最後まで気を遣わせてごめんなさい。
顎クイされて拒む。
「お願い、最後だから」って拒みきれず受け入れてしまった。
そういうとこ、本当直さなきゃなって思うけど。
「椿もキスして?応えて?」と泣きながら言われたら絡めてしまうよ。
副社長の頭にそっと手を添えて、最後のキスを。
噎せ返るようなキスを与えてしまうのは罪ですね。
バックハグしていた腕も緩んできて胸を弄り始めたので唇を離してその手も取り上げた。
「ここまでです、私が応えてあげられるのは……これで本当に最後です、ごめんなさい」