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甘い蜜は今日もどこかで
第8章 【ずっといつまでも】
「治って元気になったら一番に会いに行く」だって?
私が会いに行くし。
でも、うん、待ってるね。
無理はしちゃダメだよ。
そしたらちゃんと、2人の将来について話し合おう?
改めて、2人で吉原さんに報告しようね。
「私が帰ったら看護師さんに薬塗り直してもらってね」
「うん……うん……」
ポロポロ溢れ出す涙を拭いてあげてた。
肩を震わせ泣きじゃくるジロウが堪らなくて抱き締めてあげたかった。
包帯だらけの身体だから今はグッと我慢。
でも、私だって我慢の限界はあるからね?
もしかしたら、めちゃくちゃ会いに行っちゃうかも。
大丈夫、仕事は疎かにはしない。
わかってるよ、そんな事したらジロウが怒るよね。
それ以上に吉原さんからも説教されそう。
そうならない程度に頑張るよ。
転院も無事に終わり、ジロウは救急センターには居なくなった。
会社からは随分遠くの病院に行ってしまった。
毎日は会えない。
仕事は相変わらずだが、皆さんに支えられている事は日に日に感じている。
一番驚いたのは突然ビジュアルのイメチェンをしてきた副社長だった。
以前は前髪を上げていて黒の短髪だったのに、ツーブロック風に刈り上げていてトップはパーマがかかってる。
「副社長……髪型、変えられたんですね、凄くお似合いです」
まだ本人すら慣れてないのか、照れている。
真っ赤になりながら
「ツイストスパイラルパーマっていうらしい」とか説明し出す姿に思わず笑ってしまった。
「どうかな、イメチェンしてみた」
「はい、爽やかさがかなり出てます」
「格好良い?」
「はい、格好良いです」
「あのさ、今はまだ、どうやったって忘れられそうもないから足掻かせてもらうけど、藤堂さんの“格好良い”の一言で単純に喜んでる自分が居る……それくらい良いよな?ちゃんと俺なりに気持ちにケジメはつけるから……こんな俺でも嫌いにはならないで欲しい」
色々あって無意識にたくさん傷付けてきたんだよね。
謝らなければならないくらいなのに、副社長は自分を悪く言う。
ジロウを選んだ私は事故があって更にジロウの手を離すまいとジロウ一色になって。