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甘い蜜は今日もどこかで
第8章 【ずっといつまでも】





あ、曲がってる…とネクタイの結び目を戻す。
至近距離で目が合ってもニコッと受け流せるようにもなった。
もう完全に気持ちはないことを副社長も充分に理解してくれている。
だからって甘えてばかりも居られないけど。




「ちゃんとお断りしたじゃないですか、もう一度お伝えしましょうか?」




「あのさ、わざと嫌われるように持っていってる?そんな安々と気持ち変われないからね?まぁ、時間は掛かりますよ、でも藤堂さんの気持ちは痛いくらいわかったから……俺もそろそろ前を向いて歩いていきます」




頭を小突かれて仕事モードの顔つきとなった。
新店舗のセレモニーと新たな都市開発事業も抱えてる。
大忙しで帰ったら寝落ちしていることもしばしばあった。
ジロウとビデオ通話しながら寝てたことも。




「よし、今日の会議はこれで終わったな?」





「はい、アポもありません」




「じゃ、始めるか」




「え、何をですか?」




いきなり手を引かれ副社長室を後にする。
秘書課に用事があるのかと首を傾げたが、パッと手が離れた瞬間。
秘書課の皆が一斉に集まっていてクラッカーが鳴り、ビックリして「ひゃあ」って肩を上げて変な声が出てしまった。




「「藤堂さん、お誕生日おめでとうございまーす!!」」




「え……?え?え?」




副社長と秘書課の皆さんが粋な計らいをしてくれていて、サプライズで誕生日を祝ってもらえた。
奥から室長がケーキを抱えてやって来てハッピーバースデーソングを皆で歌われめちゃくちゃ恥ずかしくなった。




もう祝ってもらう年齢でもないのに職場で皆から「おめでとう」と祝ってもらえるのは感動して泣きそうになる。
「これ、皆から」と花束とお洒落なスカーフをも頂いた。




「ありがとうございます、何か退社するみたいですね」と言うと皆で笑った。




「ハイハイ!あのイケメン彼氏といつ頃ゴールインしますか?」なんて手でマイク風に向けられちゃって赤面する。
まだそこまで話が固まってないというか。




「おい、俺、フラれてまだ日が浅いんだけど」




「「えっ!?」」




突然、皆の前で発表しちゃうものだから秘書課が沸いてしまったのは言うまでもない。
「もう時効だろ」って自分からバラします!?









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