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甘い蜜は今日もどこかで
第9章 【離れない永遠に】
契約期間が終わったら…と思っていたのですが。
「俺がちゃんと諦められるように幸せいっぱいなドレス姿見せてくれよ」と副社長が出発する前に式を挙げることになりました。
ジロウも快く受け入れてくれた。
普通嫌だよね、結婚式に相手の事が好きだった人を呼ぶのって。
クライアントを呼ぶのも異例中の異例だ。
吉原さんに相談したら
「良いんじゃない?それは椿自身が築いてきた縁なんだから絶対にダメなんてことはないわよ?」とあっけらかんとして言われた。
式は盛大ではなく、なるべく身内だけのこじんまりとした式で良い。
純白のウェディングドレスを着て、バージンロードを歩き、白いタキシードを着たジロウと愛を誓い合ったキスを。
「一生幸せにする」ってキスの後に囁いてくれた。
もう充分幸せにしてもらってるけどね。
私たちもまだ歩き始めたばかり。
会社の皆やクライアント先の皆さん、両家に祝福されて式、披露宴は終わった。
その翌日に私は秘書を終えた。
副社長もニューヨークに経つ。
ジロウと一緒に見送りに来たら
「最後までイチャイチャ見せつけに来たのか!」と突っ込まれたけど嬉しそう。
「俺が成功したらもう一度会ってくれるらしいから、キミの奥さん」ってまだマウント取るの?
「はい、その時は僕も是非」
「要らねぇよ!2人きりで会わせろ!空気読め!」
2人のやり取りに笑う私はそれぞれの手を取り自分も含めて重ね合わせた。
「な、何だよコレ」
「仲良しの証です」
「俺だけ蚊帳の外だろ」
「早く会いに来てくださいね?小川椿に」って最後は嫌味の一つでも言ってやろう。
「あ、そうだ」と副社長に耳元で囁いた。
「なっ!ク〜むかつくな!行ってくる!」
「アハハ、いってらっしゃーい!お元気で!」
見えなくなるまで見送って、飛び立つところも見ようと展望デッキへ移動する。
「ねぇ、さっきあの人に何て言ってたの?」
「ん〜?ヒミツ」
「えー!何それ、蚊帳の外ってこっちじゃん……」
「ウソウソ、拗ねないでよ、えっとね………次に会う時は家族が増えてるかもです……て言ったの」