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甘い蜜は今日もどこかで
第9章 【離れない永遠に】
すぐに意味を理解したジロウは真っ赤になって照れてる。
真っ赤になったと思ったらすぐに真顔になって。
「えっ!?今居るの!?」とお腹を見てくる。
これには爆笑しちゃったね。
いくらなんでも気が早いよ。
「居ない居ない」と笑う私に「本当?」って全然信じてくれない。
「その、デキたら絶対にすぐ言ってね?」
「うん、でもまだ2人だけでイチャイチャしようね」
「僕はいつでもOK」
「気が早いよ」
「え〜でもやっと独り占め出来たからしばらくは夫婦ラブラブで2人きりを満喫、だね」
そうだよ、大好きな仕事も続けるし、ジロウにはまだまだ未熟な私をマネージャーとして支えてもらわなきゃ。
久しぶりに袖を通す制服。
クルー階級でもトップとされる称号、スイングマネージャーのバッチを名札の横に着け、帽子、インカムを掛けたらガヤガヤと騒がしい店内に立ち、並んでいるお客様の対応に勤しむ。
秘書ではないもうひとつの顔を持った私がそこには居た。
「大変お待たせ致しました、ご注文はお決まりでしょうか」
真っ直ぐ目を見て微笑めば一気に空気は変わり提供するスピードも様変わりする。
私が入れば行列なんてすぐに捌けるの。
お教えしましょうか?
まぁ、私に勝てるクルーは今のところ居ませんけどね。
「田渕くん、セットしていってもらって良い?この順番で」
「はい」
入社、間もない人材も使い方次第なの。
声を掛け合って置いてきぼりにはしない。
リアルタイムで状況を把握させていく。
やり方盗んでね、盗むだけじゃなくて自分のモノにしていくの。
わからないことをそのままにさせてあげない。
今日はこの子を一人前にすると決めたからにはとことんサポートする。
「すみません、人手が足りなくて」と店長に謝られたりするけどノープロブレム。
その為の私、なので。
改善出来そうなところはどんどん吸い上げて課題としていくよ。
忙し過ぎて目が回りそうな田渕くんに「よく頑張ったね、ついてこれてたよ」とアフターフォローは抜かりなく。
「どの先輩よりも無駄がなくてついていくのに精一杯でした」
「アハハ、大丈夫、そのうち慣れる…じゃなくてすぐに慣れさせてあげる」