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甘い蜜は今日もどこかで
第2章 【曖昧なカンケイ】





「あの、アキちゃん、急で申し訳ないんだけど次のデート、ちょっと遠出しないかな?」




「遠出…?」




「うん、来月の21日、アキちゃんを一日中独占したい」




えっと……確か黒本さんは今回だけ特別に私で次回からは別の女性スタッフが対応しますってことは……伝わってないようね。
吉原さーん!何してるんですか!
来月って……確か。




「その日、私が一緒に居ても良いの?」




「うん、その日が良い」




「お誕生日だもんね、ゆずくんの」




「え、覚えてくれてたの?」




「だってプロフィールにそう書いてたじゃん」




「そんなの覚えてくれてる人少ないのに……特に俺なんか印象薄いから」




「出た出た、ゆずくんのネガティブ思考!私が吹き飛ばしてあげるよ、というより、そんな大切な日に私を選んでくれてありがとう、一日中一緒に居れるの?本当に?嬉しい、確認するね?」




スケジュール表を携帯で管理している。
多分、土曜日だから大丈夫なはず。
出張も入ってないし週休二日は頂いてるし良かった、被ってない。
また別件で抜けたり早退したりしたらあの副社長なら発狂しかねないもんね。




「うん、大丈夫だよ」




「本当?じゃ、予約入れるね?」




その場で次のデート予約を申し込む。
会社から返答メールが来て予約完了すれば自動的に私のスケジュール表にチェックが入る。
その日一日、黒本さんから独占契約が入ってしまった。
デートの前日までにキャンセルがなければ自動精算される。




「いっぱいお祝いするね」




「うん……ありがとう」




真面目で大人しい彼だけどとっても勇気を振り絞って言ってくれたんだって痛いほどわかるよ。
あ、これでまたお金入るな……とか考えちゃダメなんだよ。
でも彼は女性に慣れる為にデートを重ねてるのであって私はプロだから先生として選ばれただけ。




そう思ってて良いのよね……?
ダメだよ?レンカノなんかに恋愛感情抱いちゃ。
ウブ過ぎて周り見えてないなんてことないよね……?




完全に勘違いさせるような素振りを見せる私にまんまと騙されないでね。
お願い、仕事だから割り切ってるプロなの。
それだけは念頭に置いていてね。










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