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甘い蜜は今日もどこかで
第3章 【どんなに焦がれても】





「ハァ………ジロウ、早くシャワー浴びたいから帰ろ?」




「ハァハァ……はい、帰りましょう」




固くなってるのは気付かないフリしてる。
ジワリ…と濡れてるの、こっちだって大変なんだからね。




家に着いて降りようとしたら駐車場に入っていった。




「あれ…?今日は帰るんじゃ…?」




「えっと、明日は燃えるゴミの日だしちょっとだけ片付けますよ、すぐに帰りますけど」




「良いよ良いよ、それくらい私するし、ジロウも疲れてるんだから早めに帰って寝て?」




そう言ってるのにバックで入ってくし停めちゃった。




「椿さんの方こそ疲れてるでしょ?お風呂入ってる間に掃除と片付けします」




「え?え?ちょっと、本当に良いから…っ」




車から降りてスタスタと行ってしまう。
慌てて追いかけて。




「僕が来たら何かマズいことでも?」




「ないけど………」




「じゃ、良いですよね」って笑顔でマンション入っていくけど、本当素直じゃないよね。
一緒に居たいならそう言えば良いのに。
面と向かって言える日なんて来るのかしら。




部屋に入るなりせっせとゴミを集めて軽く掃除も宣言通りしてくれている。
その間、私はシャワーを済ませて上がってきたは良いけど。
パンケーキ焼いててビビる。
「朝、食べてくださいね?残りは冷凍しておきます」って最早主夫だね。




玄関先にゴミ袋。
「明日の朝、迎えに来た時に僕が捨てますから」には何も言えない。
本当にテキパキと家事をこなして帰ろうとしてる。




「あ………それ………」




私の着ていたパジャマを指してる。
ジロウとお揃いで買ってたけど、もう泊まらないんであれば私が着ても良いかなって思って。
カップルウェアだから若干大きめだけど、ウエストは紐で調節出来るから大丈夫だよ。




「え?着ちゃダメだった?」




「えっ……いや、椿さんには大きいんじゃって思って」




「だってジロウ、もう着ないじゃん」




「………そう、ですね」




だからわかりやすくヘコんだりするなってば。
今、自分がどんな顔してるか知ってる?




「どうしたの?早く帰れば?」って冷たく言い過ぎたかな?
こっちだって断ち切らなきゃヤバい時もあるから。









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