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甘い蜜は今日もどこかで
第4章 【届かない想い】
会話も聴き取れる程度だし、ジョークを交えたりして話せてる。
ビジネスも実技もTOEICも取得しておいて良かった。
じゃなきゃスペシャリストとは言えないもんね。
何気にジロウも流暢な英語で話してるのが聴こえた。
チラ見して目に焼き付けちゃう。
此処のホテルマンの制服、めちゃ格好良いの。
今、少しだけ、私の左脳ではその制服を着たままのジロウお持ち帰りしちゃってる。
披露宴も終盤、お手紙の時間でもらい泣きしたフリ。
お手洗いに行く際もカイトさんはエスコートしてくる。
ロビーで待ってるとおでこにキスを落としてきた。
細かいところまで完璧な人ね。
レンタルだということは決して漏れてはいけない。
クライアントにとっては死活問題なのだろう。
所帯を持つということに出世も含まれているなんて、まだそんな古びたしきたりがある会社なのね。
お手洗いを済ませ、出ようとしたら違うテーブル席に居た新郎側の友人の奥さまとバッタリ遭遇してしまう。
初対面ではあったが挨拶した時には気さくに話しかけてもらえた人だ。
「あら、本当に綺麗な顔立ちね?肌も綺麗だし、エステとか行かせて貰ってるのね、相模くん優しそうだもん」
「はい……甘えちゃってますね」
「ねぇ、相模くんってお家ではどんななの?想像つかないわ、主人も掴み所がない奴だけど仕事は人一倍出来る奴だって言ってた〜」
思ったよりグイグイ来られて圧倒されるがメイク直しされているので居た方が良いのかな。
「逆に私は会社でのカイトさんを知らなくて今日楽しみにしていたんです、お披露目会の時は緊張ばかりしててあまり覚えてなくて」
「あ、そうだ、コレあげる、良かったら今夜でも使ってみて」とウィンクされながら手にコルク付きの小瓶を渡された。
中には透明の液体。
香水……?
そしたら奥さまは耳元でそっと。
「とっても効き目のある媚薬よ、私たちもこれのお陰で授かったの、もう3人居るわ、次はあなた達じゃない?相模くんの飲み物にそっと混ぜちゃいなさい」
「えっと、主人待ってるのでもう行きますね、ありがとうございました」
そそくさに出てきたけど、何じゃこれはー!!
原材料名の表示がないし、とりあえず怖いよ。
でも捨てるわけにもいかずそっとクラッチバッグに直した。