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甘い蜜は今日もどこかで
第4章 【届かない想い】
そうか、結婚して2年……という設定だからそろそろ、なんて思われちゃうのも仕方ない世の中なのよね。
そんな縛り要る?
いつ、授かろうと勝手じゃんって思う。
そのうち、本当にカイトさんのご両親から孫はまだか、とか催促されるんじゃ?
カイトさんも良い歳だもんね。
「そうなれば離婚を切り出します」と前に言っていた。
上手くいっていないということを匂わせれば煩くも言われないと。
でもそれって本心では虚しいよね。
また他のキャストをレンタルするのかな。
そこまでクライアントのことを考える必要はないんだけど。
この仕事をしていると時々ふと、そんなことが過ぎっちゃう。
ロビーで待ってくれていたカイトさんの元へ笑顔で戻っていく。
残された時間、たくさんの夢が見れますように。
また次も指名されると良いな、と願いを込めつつ、あなただけを見つめている。
私が戻ってきたのをジロウはすかさずチェックしてる。
二次会には参加せずに帰っていく私たちを、先程の媚薬をプレゼントしたきた奥さまに再びウィンクされて引きつり笑いに。
絶対に変な誤解されてる。
クライアントととの時間がもう終了に近付いているからであって、決して今から燃え上がりに行くのではない。
声を大にして言いたいがグッと我慢。
「万が一もありますので2つ先の駅まで送ります」とカイトさんの代行車に乗る。
すぐ後ろにジロウの車がついてきている。
クラシックが流れる車内で。
「今日はありがとうございました、遅くまで助かりました」
「いえ、お役に立てたなら良かったです、こちらこそありがとうございます」
「あなたを指名して本当に良かった」
「嬉しいです、あ、後、〇〇様の奥さまに媚薬貰っちゃいました、アハハ」
「え!?媚薬っ!?」
「ええ、授かりますようにと」
「わわわっ、あの人は何をっ…!す、すみません、僕のことで恥をかかせてしまいましたね」
「いえ、今どき面白いことする人だな、と思いましたけどコレはこちらで処分…という形でも宜しいですか?」
「あ、はい、そうして頂けると有り難いです……お手洗いでそんなことがあったんですね」