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甘い蜜は今日もどこかで
第4章 【届かない想い】





「珈琲飲みたいです」




「ダ………ダメ、今日はもう遅いしね?」




「まだ19時45分……」




またいつもの泣きそうな顔………
大好物なやつ………ヤバい、それ。
もう見れない。




「今日は本当ごめん、1人でゆっくりしたいの、ほら、ジロウも帰ってゆっくりして」




無理やり追い出そうとしたら肩を掴まれた。




「また何か隠してません…?いつもならマッサージとかお腹すいたって甘えてくるじゃないですか……もしかして、この後誰かと会ったり……もしくは此処に誰か来るんですか?」




ジッと見つめる視線に珍しく私から観念した。
認めざるを得ないのよ。
これ以上はマジで。




「どれも違う………此処はジロウ以外上がらせない……」




「じゃ、何隠してるんですか?もうバレバレっすよ、顔に出てるんですから」




わかってる………わかってるよ。
ジロウの前では誤魔化せれないってこと。
散々だよ、私。




「いや、だからあのね……」と目を逸らしても顔ごと追っかけてくるの。
似合ってる制服姿、目に入ってくるから。
あまり見えないように手で隠しちゃう。




「椿さん、僕、このままじゃ帰れないです、ちゃんと理由を教えてください」




「だから、見てたでしょ?私、お酒飲んでたの、途中でノンアルに変えたけどほろ酔いだし、今のジロウ見てたら何するかわかんなくなるからもうマジで出て行って…!」




少々キツめに言わないとわかんないでしょ。
はっきり言わないとわかんないとこ、マネージャーとしてどうなのよ。
空気読んでよ、察しなさい。




「わかんないです……急に態度変わるからどうしたら良いか、そりゃ冷たくされたら僕だってヘコみますよ、だからこうなる前に言ってください」




「は!?今から襲うかも知れないのでお引取りくださいってわざわざ言わなきゃダメなの?バカじゃん、そういうの女の方から言わせるとかバカ!」




あぁ、もう何なの、ケンカしたい訳じゃないのに。
苛々してくる、その口塞ぎたくなる。
どうにかなりそうだから「帰って」と胸を押す。




「すみません、椿さんの口からちゃんと聞きたくて……つい」




え、ちょっと待って、またヤラれた!?
ジロウのくせに私を試したの?
はぁ!?この童○野郎!!









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