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呪われた王宮~宿命を負う聖少女の物語
第10章 逃亡(呪われた王宮)
今もルナの細い肩を抱きしめながらも、心の奥底に潜む恐怖を感じとっていた。
どれくらい時間が経ったのだろうか。
顔を上げて、涙で濡れた金色の瞳をみせるルナがディオンに言った。
「一緒に逃げて・・ディオン・・・」
ディオンはその美しい頬にそっと口づけをすると、優しく頷いた。
二人の間で説明は不要であった。
ルナの心が恐怖で満たされている。
こんな事は初めてであった。
ディオンには、それだけで十分だった。