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呪われた王宮~宿命を負う聖少女の物語
第53章 傷追い人(アズート)
男は改めて少女を見つめていた。
ろうそくの火が少女の顔を照らしている。
薄いグリーンの髪が揺れている。
今年十五才になったばかりの身体は、幼いながらも丸みを帯びて女らしくなっていた。
男の問いに少女は答えられなかった。
自分でも分からなかったのだ。
(何故、助けたりしたのだろう・・・?)
マチルダの心は後悔の念で一杯だった。
自分の国を滅ぼしに来た男なのに。
マチルダの脳裏に、地獄の光景が蘇る。