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呪われた王宮~宿命を負う聖少女の物語
第55章 後悔(アズート)
「どうして・・・・?」

誰もいない聖堂の中で、マチルダは何度も心の中で繰返した言葉を呟いた。
只一つ言える事は尊敬し、慕っている僧侶ならマチルダのした事に賛成してくれるという思いがあるのだった。

しかし、そんな思いをあざ笑うかの如く、男は卑しい言葉を吐き出してくる。
追手から逃れ少女と二人きりだと分かると、元の残忍な表情が蘇っていた。

「善人ぶりやがってよぉ・・・。それで俺を助けたつもりかよ、ええ・・・?」
「キャッ・・・」

男の血にまみれた手が少女に小さな悲鳴を上げさせた。
細い手首をギュッと掴んでいる。

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