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呪われた王宮~宿命を負う聖少女の物語
第55章 後悔(アズート)
マチルダの瞳が涙で滲んでいく。
僧侶の教えを守って助けたのに。
優しさでは救えぬ男がいるのだろうか。
マチルダの瞳が輝き出した。
ほのかに金色を帯びている。
男の邪悪などす黒い欲望が少女の心に飛び込んでくる。
もう一方の手をマチルダの身体に伸ばす。
「や、やめなさい・・・」
怒りが込上げてくる。
村人を裏切ってまで助けたというのに。
「澄ましてんじゃねえよ・・・」
男の手が腰に触れた時、少女の髪が逆立った。