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呪われた王宮~宿命を負う聖少女の物語
第56章 消えた男(アズート)
男がそうすると聖堂の床が裂け、男は飲まれてしまった。

「ウギャー・・・」

僧侶が入っていくと聖堂には誰もいなかった。
男の血痕が床に残っていた。

僧侶達は探したが、誰もいなかった。
皆が去った聖堂に再び声が木霊した。

「フハハハハ、よく来たなぁ」
「クソッ、嘘吐き野郎め。早くここから出せっ」

「まあ、そう焦るな。
二百年も封じ込められてきたのだ・・・。

とうにワシの身体は朽ちているわ。
お前の死にかけの身体では、ここから出ても直に果ててしまう。

それよりも、その邪悪な魂とワシの力で生まれ変わるのだ。
この地中に棲む虫や蛇達の精気を吸ってな・・・。

ウハハハハ、二百年も待ったのだ。
十年や二十年くらい、すぐにたつわ・・。」

「ヤ、ヤメロー・・・」

男の声が闇に消えていった。

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