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ベターハーフは何処にいる
第10章 長い夜と新しい朝
目が覚めると、
病院のベッドに寝かされていた。


部屋の中には、
豪ちゃんとママが居た。


「んっ…私…?」と言うと、
豪ちゃんが泣きながら、

「愛ちゃん、大丈夫?
まだ痛い?」と言う。


「えっ?
赤ちゃんは?
赤ちゃんは大丈夫よね?」と言うと、
豪ちゃんが頷いてくれたから、
安心して私も泣いてしまった。


「少し出血しててね。
切迫流産するといけないから、
暫く絶対安静だって」と言われて、
ゾッとしてしまう。


「まあ、貴女はお転婆だから、
ちょうど良かったんじゃない?
少しのんびり静養すると良いわ?」と、
ママがそっと実家から持って来てくれたテディベアを枕元に置いてくれた。




その後は、みんなで私を甘やかすようになる。

おじさま、とお呼びするようになった長老代議士の方まで、お見舞いに来てくださり、
「政界入りとか、要らない心配掛けたからかな。
大丈夫かな?」と、
親戚のおじいさんのようにオロオロしているし、
銀座のクラブのママさんも、
出勤前に何度も顔を見せてくださった。


翔子さんについては、
年齢を偽って、
お金持ちそうな顧客に媚びていたけど、
辞めてもらったからと言って、
頭を下げていた。


どうしてクラブ勤めをしていたのかもわからないけど、
もう二度と会いたくないと思った。

そして、その後は実際に会うのは、かなり時間が経ってからだった。



退院してからも、
とにかく臨月に入るまでは基本的に安静にと言われていたので、
体重増加と闘いながらの後半戦を乗り切って、
帝王切開で玉のような男の子を授かったのは3月初旬のことだった。


暫く傷が痛くて、
何をするのも大変になってしまったけど、
その分、豪ちゃんも周りの家族も協力してくれて、
やがて、また、甘い夜と穏やかな気持ちの朝を迎えるようになっていった。
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