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ベターハーフは何処にいる
第2章 初めての片想い
大学に入った私は待望の一人暮らしを始めた。

親が決めたマンションだったのはちょっと癪だったし、
同じマンションの違うフロアに豪ちゃんも住むことになったのは計算外だったけど、
お互いに密告ナシだよってことで、
付かず離れずっていうか、
兄妹みたいなペースでの大学生活が始まった。


司法試験を在学中にクリアするという目標を立てていたから、
大学とは別に司法試験予備校にも通うことにした。


そこで豪ちゃんに紹介されたのが、
森田葉(よう)くんだった。


豪ちゃんの高校までの同級生だって言ってたけど、
他の附属の男子達とは違って、
寡黙で、真面目で、
なんていうか、私のことを何とも思ってないみたいだった。

空気みたいに、私のことを意識してないみたいで、
無視されてるみたいだった。


大学の同級生や先輩達は、
物凄く私を甘やかしてくれてチヤホヤしてたから、
森田くんの塩対応には面食らってた。

それで余計に森田くんが気になったのかもしれない。



豪ちゃんがインフルエンザかなにかで予備校休んだ時に、
初めて森田くんと2人きりで話をしながら家まで送って貰ったことがあった。


マンションの下で、
「豪と住んでるの?」と静かに言われて、
「えっ?」と言った。


「部屋は違うよ。
親がうるさくて、
豪ちゃんと同じマンションなら良いって、
一人暮らし始められたの」と言うと、

「ふーん」と興味なさそうに言って、

「じゃあね。
おやすみ」と言って、
スタスタの帰ってしまった。


私は寒いのに、
ずっと後ろ姿を見ながら、
「好き」って呟いた。


森田くんが急に振り返るから、
私は誤魔化すように元気に手を振った。


森田くんは小さく会釈して、
また、スタスタと遠ざかってしまった。


それが、
私の淡い恋心を自覚した瞬間だった。
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