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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第4章 Valet & Earl 〜従者と伯爵〜
貴婦人たちの香水の香りや紳士たちの葉巻きの匂いが漂い、笑い声や騒めきに満ちた玄関ホール…。
華やかなドレスやアクセサリー、立派な燕尾服の洪水だ。
狭霧は伯爵の外套とシルクハットを受け取る。

「…それでは存分に見学するといい。
従者の控室はあちらだ。
出入りは自由だよ。
用事がある時にはこちらの執事が呼びに来てくれる。
…我々は大広間か舞踏室にいる」
「…舞踏…室?」
「ロッシュフォール公爵家の夜会の最後はワルツが恒例なのだよ」

…ワルツか…。
さすが貴族の夜会だ。
「…そうなのですか…」
少し興味が湧く。
「…あの…旦那様も踊られるのですか?」

伯爵は美しい目元でチャーミングに微笑った。
「嗜む程度に…ね」

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