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彼女はただ満たされたい
第1章 元カノは今日も中に招く
 ゆりの家に行き話しをすれば更なる悪夢が待ち受けているとも知らずに、俺はのこのこと通い慣れた道を懐かしみながらゆりの家に浮足立ちながら向かっていた。
 ゆりは笑顔で俺を迎え入れた。「てきとーに座ってて」といわれ、いつもの位置に腰を落ち着ける。
 部屋は以前と変わりないと思っていたが、所々に俺の物ではない男物の服や小物が点在していた。嫌でもゆりに男がいることを思い知らされ、一刻も早くここを出たくなった。
 心ではずっと俺たちは付き合っていたと思い込もうとしつつも、頭ではきっと男と別れたから俺に復縁を迫ろうとしてるのかもと期待していた。
 しかし、他の男と付き合っていたということと、今も付き合っている可能性が高いことを見せつけられ、何故家に呼ばれたかもわからず、俺はただ打ちのめされていた。
「ほんと久しぶりだね。元気にしてた? 早速本題なんだけど、私みっちゃんとエッチしたいの」
 俺に炭酸のペットボトル飲料を手渡しながらゆりはそういった。
 ぼんやりと座っていた俺は冗談抜きに殴られたような衝撃を感じ、理解が追いつかなかった。
 ゆりの家に来てからぶちのめされてばかりの脳に、ゆりは何故エッチをしたいのかと語りだす。
 その時は聞き流しているだけに近かったが、今思い返し要約するとこういうことだった。
 俺と別れた後、無事好きになった人と付き合うことができたが、身体の相性がよくない。彼のことは好きだが性欲は満たされない。そんな時いつも浮かぶのが俺の顔で、一人でする時に思い描くのは俺とのセックス。
 思い返しながら自分で慰めていたが、どうしても我慢できなくて連絡をしたらしい。
 セフレになれということか。
 その時かろうじてわかったのはそれだけだった。
 そんな関係になりたくないと思う俺がいるのに、断る気力は残って無く、目の前で服を脱ぎだしたゆりをぼんやりと見つめ、ズボンに手をかけられてもされるがままになった。
 俺の意思とは関係なくペニスはそそり立ち、本能を押さえつけることもできず、気づけば腰を振っていた。
 その時の行為の記憶は曖昧で、全てを忘れるように没頭し、がむしゃらに腰を振って精をまき散らした。
 そこから俺たちの新たな関係が始まり、終わらせることができないままここに至る。
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