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4畳半でスワッピング
第5章 それから半月後

僕は心底驚いて、食べかけのトーストを口にくわえたまま、しげしげと桃代の顔を見つめていました。

でも僕は、桃代からスワッピングと聞いた一瞬の間、とても不遜で打算的な思考が頭をよぎっていたのです。

スワッピングといえば、互いの妻を交換して性交するってことですから……、

桃代がどんな経緯で相手夫婦を見つけたのか分かりませんが……、
もしかして、相手の夫婦が中年過ぎで、僕の相手が小じわの醜いおばさんだったらどうするか? 
25歳の桃代との年齢差を考慮すれば、新車と塗装の剥げた中古車を交換するようなものではないか。

僕たちは若いのだから……、その可能性は高いのだから……、損得勘定で大損ではないかと、瞬時に打算が働いたのです。

もしも相手が若くても、とんでもないブスだったら、正面衝突した事故車と交換するようなものではないかと考えて、許せなかったのです。

それなのに桃代は、いかにも平然な顔つきで言い放つのです。

「ふとしたきっかけで、決まったのよ。いいでしょう?」

いいでしょうとか言われても、不穏とか不安よりも、危険な臭いさえ漂います。

「いいでしょうって……ど、どこの夫婦と……?」

「お隣の勇樹くんと春菜さんと、私たち夫婦のスワッピングだよ」

「えっ? ええっ? マジで言ってる? 冗談だろ?」

「冗談じゃないよ。マジに真剣だよ。日曜日の朝からの約束だから、もう決めたんだから、予定を入れないでよね」

「あ、う、うう……」


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