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第10章 姉夫婦の訪問

冬彦さんは決断しました。

「桃ちゃん、ありがとう。僕の責任なのだから、いくら考えても他に答えは見つからない。これまで散々苦しみ悩んできたけど、いつも堂々巡りをしているだけだ。だから、決めよう。桜子、お前もいいね？」

「はい。立派な赤ん坊が授かるのなら、本当に嬉しいわ」

ところがですよ、冬彦さんが決断したのはいいけれど、厳しい条件を求めてきたのですよ。

冬彦さんにとっては、簡単に受精の儀式とか言われても、自分の妻が他人の男とセックスをするのですから、安易に承諾はできないのです。


冬彦さんは嫉妬心を丸出しにして、受精の儀式に際して厳しい条件を提示してきたのです。

「ただし、条件があるんだが……」

神妙な顔つきで桃代が訊ねます。

「条件って……何ですか？」

「受精をするということは、金太郎くんと妻の桜子が交わるということだ。今回の儀式は、あくまでも受精という結果が目的であって、淫らな快楽であってはならないんだ。分かってくれるね……」