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ひまわりの花束
第12章 花火の夜
ずっとうつむいていたので、部屋の明るさに驚いて周りを見回す。

部屋の真ん中には大きなベットがあり、ソファーと大きなテレビがある。

「バスルームで着直してきます。間違えて戸を開けないでくださいね」

「分かってる」そう言ってそうさんが冷蔵庫から水を取り出し、ソファーに座った。

急いで脱衣所に向かい、扉がガラスで透明な事に気が付く。

どうしよう・・・仕方ないそうさんに見えないようにして帯を解く。

でも鏡が良く見えない。

「ちーちゃんそれってわざと見せて着直してるの?」そうさんが後ろまで来て言う。

「違います、鏡が見えないから。来ないでください。」

「なんか色っぽいね」

「やめて!着直すだけって言ったじゃないですか」

浴衣を羽織った状態で、ギュッと突然後ろから抱きしめられる。

しばらくギュッと抱きしめられたまま、沈黙が流れる。

そうさんの顔は見えないけれど、激しい息遣いと脈拍が伝わって来る。

「ちーちゃんが会社に入って来た時から気になっていた。彼がいたからずっと片思いだった。彼と別れたばかりでこんなこと言われても嬉しくないかもしれないけれど、付き合って。俺の彼女になって。すぐに好きになってくれなくてもいいから」

そうさんからのいきなりの話にフリーズ状態になる。

「私は、そうさんの事、仕事の出来る素敵な先輩って思っていたから、それ以上は」

ようやく出てきた言葉で思いを伝える。
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