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貴方を諦めます
第20章 通じ合う心
項垂れて視線を下げていた涼ちゃんが、やっと私を見てくれた。


綺麗なその瞳は私を疑っているようにも見えるし、期待に溢れたような感じにも見える。



「本当に…?」


「うん、どうしようもなく好き。なんだろう、私涼ちゃんしか愛せないのかな?」


私の人生、殆ど恋愛してる時間は涼ちゃんで埋め尽くされてる。


それはきっとこれから先も変わらないのかもしれない。



涼ちゃんは私の腕を掴むと、身体を引き寄せて優しく抱き締めてくれた。



「俺と付き合ってくれるの…?」



弱々しく放たれたその言葉は、ずっと私が待ち望んでいた言葉だった。

学生の頃は涼ちゃんの事しか考えられなくて、ずっと私が涼ちゃんの特別になりたいと思っていた。

叶うはずないと思ってた。


初恋は実らないって本当だったんだなぁって思ってたけど、あれは迷信だ。



「うん、彼女にしてくれる?」


「当たり前じゃん…、香織しか考えられない」



幸せだ。


ずっと片思いしていた相手と両思いになれるなんて。
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