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貴方を諦めます
第1章 彼は女誑し
「でもさ、涼くんが大学を受験してたなんてビックリだったんだけど。香織本当に知らなかったの?」
「知らなかった。だって噂では就職するって聞いてたし」
それに、まさか同じ大学とは思わなかった。
地元から離れた隣の県の大学を受験した私と美紅。
入学式で涼ちゃんを見つけて、駆け寄ったのを今でも鮮明に覚えてる。
片思いした3年間を思い出にして、大学では新しい恋を見つける!!なんて気合を入れていたのに、私の決意は意図も簡単に崩された。
「やっぱり本人がいるのに忘れるなんて無理だよ~…」
「一途だねぇ~、もう少し視野を広げてみなよ。香織は美人なんだから涼くん狙いじゃなきゃ男は寄ってくると思うけど」
「んなわけないでしょ…、告白されたことだって一度もないよ?」
「だーかーら、それは香織が涼くんにゾッコンだからでしょ?誰も負け戦に自ら飛び込もうとなんてしないって」
美紅は私が落ち込むといつも励ましてくれる。
自分がブスって思ったことは無いけど、美人だなんて思ったことも無い。
美容は大好きだし、マツエクもネイルも月一で通っている。
長い髪も美容院でカラーした後にお高めのトリートメントでサラサラ。
だからと言って全部自己満。これは涼ちゃんの為に可愛くなろうとか思ってる訳では無い。
全部自分が好きでやってるだけ。
だって涼ちゃんに好かれようとしてる女の子たちはきっともっと努力してるだろうし…