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密会
第13章 🌹あとがき🌹

【12】「...そうか...初めてか...。」

その様子を無味乾燥とも言える目で見ていた彼だったが、彼女が「初めてだ」と打ち明けた瞬間、その白けた目を系のように細めると、口元に暗い微笑を作った。

美月ちゃんが黎一さんの陰茎に誤って歯を立ててしまい、「ごめんなさい!初めてで上手く出来なくてごめんなさい!」って泣きそうになりながら謝った後の彼の反応。
この笑いを美月は冷笑又は嗤笑とも捉えられる笑みと解釈し、フェラが未経験な事を馬鹿にされたと思い込みました
でも実際、彼は彼女が初めてだったという事実に喜びを感じて笑ったんです。さっき勃たせろって言った時も、どうせ経験有るだろうとしか彼考えてなかったので。
“お前の咥内を最初に犯したのはこの俺か”という喜び。それ故の暗い微笑です。
ですので、その後自分の所有物かの如く、彼女の頭を撫で回したり、威圧感のある口調を柔らげて上機嫌な声に一変させたりしたのも一時的に自分の独占欲が満たされたからという理由です。


【13】

「俺としたことが“消毒”を怠っていたようだ。」

これは、自らの手で物理的・社会的制裁を加える事が出来ない男の鬱血痕が嫌でも自分の視界に入る事に関して、我慢ならない、心底腹立たしいと気持ちを表しています。
地を這うような声で吐き捨てたり、怨念や憎悪をこめたような烈しい瞳で睨み据えたのもその為。だから消毒という名の自分の所有印を彼女の身体に刻み上書きする事で、少しでも自分の独占欲を満たそうとしました。
凄まじい嫉妬を意味しています。

【14】

「......................ああ、要らないのか。」

不気味な程穏やかな声色でそう言うと、生気を失った目はそのままに、口角を歪めて奇妙な笑いを浮かべた。

目を泳がせながら、「えっと...まだ...正確には考えてなくて...」としどろもどろに答えた美月ちゃんに対するこの返答。
後に、苦しみながら「お前との子供が欲しかった」と吐き捨てる黎一さんの心境から考えるに、強い失望を感じながら、やはり彼女の好意は口先だけでしかなく自分だけが狂おしい程彼女を求めている、それを見に染みて実感してしまったという事です。奇妙な笑みは自嘲です。
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