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密会
第5章 🌹August-2🌹
「俺は他の女を想像しながら、お前を抱く気は更々ないが。それでも不満か?」
耳元で囁かれた、まるで意中の女を口説くような甘い台詞に私の心臓は轟くように躍った。
「いえ...もう充分です。」
耳を真っ赤にしながら、そう答えた私に対し、彼は満悦な笑みを浮かべると、運転席からゆったりとした足取りで降り立ち、私を手招きした。
女を手玉に取る悪い男と
そんな男の虜になりつつある馬鹿な女。
まるで蜘蛛の糸に絡め取られた逃げ場の無い蝶のようだが、彼の誘いを断る気はこちらも更々無いのだ。
彼の手に導かれるように助手席を降りると、
予期せぬ形であるが、初めて私は彼の家に上がらせて貰う事となった。