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密会
第5章 🌹August-2🌹
「...疲れただろう?解説に入る前に、一口どうだ?」
デスクの上にカランと音を立てて置かれたのは、氷の入った麦茶。
ああ、ついに来るのだ。
そう思いながら、「あら、気が効くのね。」と上から目線で上機嫌に笑うと、グラスを傾けてゴクゴクと飲み干していく。
予定では睡眠薬入りの麦茶だが、恐らく何も入っていない麦茶だろう。
実際に眠くはならないが、眠くなったフリをしなくてはならない。
目を擦った私は、一つ欠伸を欠いて椅子に座ったまま、ゆっくりと静かに目を閉じた。
程なくして、恐らくキングサイズのマットレスやベッド下に固定ベルトを取り付ける音が静まり返った室内に響く。
逸る気持ちを抑えていると、背中とオフィスチェアの間に片手を差し込まれ、そのまま彼にお姫様抱っこをされると、準備が整ったベッドにそっと降ろされる。
瞼を閉じていても分かる程、手早く慣れた手付きで彼は私の両の手首と足首をそれぞれ固定していく。固定する際のバリバリとしたマジックテープの音ですら興奮材料となってしまいそうだった。
まだ興奮しちゃ駄目。駄目。
そう自分に言い聞かせて、瞼をゆっくりと持ち上げると、私は夢の米倉 美月に成り切るのだった。