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密会
第1章 🌹April🌹
そして迎えた土曜日。
天気は私の湿っぽい気分とは対照的で、
春の陽気を感じる綺麗な快晴だった。
服装選びに少々時間がかかったが、
結局、白のブラウスに黒のタイトスカート、黒のヒールに、ベージュのスプリングコートという、いつも外出する時の定番のスタイルで目的地の場所へと足を進めた。
そしてギラギラと派手な外観のラブホテル前に到着したが、日比谷教頭の姿は居ない。
まだ来ていないだけなのだろうかと、辺りをキョロキョロ見渡していた所、スマホが振動音を立てた。
「はい、米倉です。」
「私だ。今、どこに?」
「丁度、ホテルの前に到着したところです。」
「そうか。では、207号室に合流するとフロントで伝えろ。」
「...はい...」
私がそう返答した直後、電話はまたしても強引に切られた。
どうやら日比谷教頭は部屋で私が来るのを1人待っているという状況のようだ。
久々のラブホテルに足を踏み入れると、途端に現実味を帯びてきたのか、緊張で肩に力が入るのが分かった。
「あの...207号室に合流したいんですけど。」
フロントの受付でそう伝えた声はかなり上擦っていた上に掠れていた。その後、緊張は解けないまま覚束ない足取りで日比谷教頭が待っている207号室へと向かった。