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私のお部屋
第11章 呼び出し

送ってもらったお礼にとばかりに
桃子は豆田先生を自宅に招いてお茶でもと勧めた。

辞退するかと思いきや
「そうですか?じゃあ、お言葉に甘えて…」と
車を庭に駐車して
ぬけぬけと桃子の後についてリビングに上がり込んだ。


コーヒーを飲んで一段落すると豆田先生は
「あの…PTA会長の言っていた事は本当なんですか?」と唐突に尋ねてきた。

「あ…、私が男を連れ込んでいるという話ですか?」

「隠さなくてもいいんですよ
離婚をして寂しかったんでしょ?
違いますか?」

「ええ…そうかもしれないわ
シングルマザーになるのがこんなにも淋しいとは
思ってもみなかったんですもの」

「かといって、男を連れ込むのは良くないですよ
思春期の女の子は多感ですからね
母親が父親以外の男に抱かれるなんて
想像を絶するほど嫌だったに違いないですから
僕に相談してくれればよかったのに…
僕ならPTAの打ち合わせと称して
外でいくらでも相手をしてあげたのに」

親身になって語りかけてくれる豆田先生に
『だって、あなたの事が嫌いですもの』とは
口が裂けても言えなかった。

「今も淋しいですか?」

「えっ?」

「僕が相手をしてあげましょうかと
言っているんですよ」

豆田先生は早口でそう告げると
おもむろに桃子の手を握ってきた。


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