この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
私のお部屋
第11章 呼び出し
由香があんないかがわしい動画に出演しているなんて…
いったいあの子どうしちゃったのかしら
私の教育が悪かったのかしら…
校長先生に見せられた動画が
目に焼き付いて離れない。
とぼとぼと自転車を押しながら
肩を落として校門を出ようとすると
背後からクラクションが鳴ったので
ハッとして桃子は我に返った。
「桃子さん、よかったら送っていきますよ」
運転席の窓から豆田先生が手を振りながら声をかけてきた。
「いえ、大丈夫です、
私ほら、自転車ですし」
「自転車の一台や二台は積めますから
どうぞお乗りになってください」
いつもならそのように言われても
無視してさっさと自転車をこいで逃げ去るのだけれど、動画の削除をお願いしているので
そう簡単には無視出来ない。
「よろしいんですか?」
「ええ、もちろんですとも」
豆田先生は意気揚々と車を降りて
ワンボックスカーの後部座席を倒して
自転車を積み込めるスペースを作った。
「ほんとに何から何まですいません」
桃子は助手席に乗り込むと
ダッシュボードに頭が当たるほどにお辞儀して
豆田先生の手を煩わせることを詫びた。
「いえ…僕がもっと由香ちゃんを指導していれば
こんな動画に出演することもなかったでしょうし」
ほんとにすいませんと
今度は豆田先生がハンドルに
頭をぶつけそうなほどお辞儀した。